減価償却は、あまり聞き慣れない方も多く、会計上だけのものだと思われがちですが、実はそうではありません。
事業を営んでいない方でも、減価償却にふれる機会があるかもしれないのです。
それは、居住用物件の売却をするときで、その譲渡所得を計算する際に減価償却を用います。
今回はこの聞き慣れない減価償却について、概要から計算方法まで、分かりやすく解説していきます。
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居住用物件の減価償却とは一体何なのか、減価償却の意味から概要までをご紹介します。
減価償却とは
会計上、減価償却の対象となる資産を取得したときには、取得した年にその全額を費用として処理するのではなく、その資産の使用できる期間の間で分割して少しずつ費用として処理するのですが、これを減価償却といいます。
この減価償却をおこなう対象の資産のことを減価償却資産といいます。
減価償却資産の概要
減価償却資産とは、業務で使用する建物や機械、車などの、時の経過によって価値が減っていく資産のことをいい、ソフトウェアなどの形として存在しないものも、要件を満たせば減価償却資産となります。
なお、土地や骨董品などの時間が経っても劣化しない資産は減価償却資産には該当しません。
ただし骨董品などでも、時の経過により価値が減少しないことが明らかでない100万円未満のものや、100万円以上のものでも、時の経過により価値が減少することが明らかなものは減価償却資産となります。
しかし、これらの要件を満たしていれば何でも減価償却資産になるわけではありません。
使用可能期間が1年未満のものや、取得した金額が10万円未満のものは、減価償却資産とはならず、取得した年にその全額を費用として処理します。
中小企業の減価償却不要の特例
先ほど、取得した金額が10万円未満の資産は減価償却資産にはならないと説明しましたが、この点に関して、中小企業の場合には特例があります。
それは、通常10万円未満とされている限度額が、30万円未満まで引き上げられ、30万円未満の資産であれば減価償却の必要はなく、一度に費用として処理できる特例です。
この特例は、2022年3月31日までの期限付きのものですが、今後延長される可能性もあります。
減価償却をする理由
ではなぜ減価償却をする必要があるのでしょうか。
たとえば、喫茶店の店主が300万円の機械を購入し、その年にその300万円全額を費用として計上したとします。
すると、他の年と比べてその年だけ大きな赤字となってしまい、そうなると、その年の正確な利益も分からなくなってしまいます。
このため、大きな金額の資産を購入したときには、購入にかかった金額を何年かに分けて少しずつ費用計上し、毎年の正確な利益を算出できるのです。
居住用物件の減価償却
減価償却は事業で使用する資産についておこなうものだと説明してきましたが、居住用物件については、事業用でなくとも減価償却をおこなう場合があります。
それは、居住用物件を売却した際に、譲渡所得を計算するときです。
この譲渡所得の計算式は、「譲渡所得= 譲渡価額-取得費-譲渡費用」なのですが、この「取得費」について減価償却を用います。
この譲渡所得を求めるときの取得費は、購入金額から減価償却費を引いた分が建物の計算になります。
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居住用物件の減価償却費の計算方法
ここでは、居住用物件の減価償却費を算出するときに、どのような計算式を用いるのか、それぞれの用語とともに説明します。
居住用物件の減価償却費の計算式
居住用物件の減価償却費を求める計算式は、「減価償却費=購入額×0.9×償却率×経過年数」です。
ここで注意したいのが、「経過年数」とは築年数ではなく、その人が所有していた期間です。
なお、経過年数は月単位ではなく年単位で計算するので、6か月以上か、以下で切り捨てという形で決めます。
償却率とは
先ほどの減価償却費を求める計算式で出てきた「償却率」ですが、聞き慣れない方も多いのではないでしょうか。
償却率には定額法と定率法があり、建物には定額法を使用し、定額法の償却率は「定額法の償却率=1÷耐用年数」で求めます。
国税庁のウェブサイトにも、居住用物件の構造別の償却率が記載されていますので参考にしてみてください。
耐用年数とは
先ほどの償却率を求める計算式で出てきた「耐用年数」とは、会計上でその資産が利用に耐えられる年数で、「耐用年数=減価償却をおこなう期間」となります。
なお、具体的な耐用年数は建物の構造によって細かく決められており、これを法定耐用年数といいます。
この法定耐用年数は、国税庁のウェブサイトで耐用年数表として公開されていて、非事業用の居住用物件は、事業用と比べて法定耐用年数がすべて1.5倍となっています。
中古物件の場合の耐用年数
中古物件の場合、償却率を求める際に法定耐用年数そのまま用いるのではなく、2つのパターンに分けた計算式で求めます。
まず1つ目のパターンは、物件を取得したとき点で、法定耐用年数をすでに超えている場合で、この場合は「耐用年数=法定耐用年数×20%」で求めます。
次に2つ目のパターンは、物件を取得したとき点が、法定耐用年数の途中の場合で、この場合は「耐用年数=法定耐用年数-経過年数+経過年数×0.2」で求めます。
なお、この2つのパターンのいずれの場合も、1年未満の端数は切り捨て、合計年数が2年未満の場合は2年とします。
居住用物件の減価償却費の計算例
これまで説明してきた減価償却費の計算について、以下のような条件の場合の計算例を記載します。
●購入額…2000万円
●償却率…0.031(木造)
●経過年数…10年
減価償却費=2000万円×0.9×0.031×10=558万円
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居住用物件の減価償却に関する注意点
居住用物件の減価償却は、税金を計算するための大切な要素です。
誤った理解をしないように、おさえておきたい注意点を3つご紹介します。
土地は減価償却できない
減価償却は、時の経過によって価値が減っていく資産についておこなうものなので、評価額が変わることはあっても、劣化することのない土地は減価償却の対象ではありません。
建物は土地の上に建っているので、建物の取り引きをする際には土地が関係してくることも少なくありません。
ついつい土地と建物を一緒にして減価償却表示を算出しまいそうですが、減価償却の対象は建物だけだと覚えておきましょう。
償却率や耐用年数の選択に注意する
先でもふれたように、償却率や耐用年数は建物の構造によって法律で細かく決められており、この選択を誤ると減価償却費の算出に影響します。
ですので、国税庁のウェブサイトで公開されている耐用年数表などを、しっかり確認しましょう。
減価償却費の計算を誤ると税金が高くなることも
居住用物件の減価償却費は、譲渡所得を算出するときに用いられ、減価償却費が多くなるほど結果的には譲渡所得が多くなります。
譲渡所得が多くなると、もちろん税金も高くなるので、誤った計算方法で減価償却費を算出することのないよう注意が必要です。
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まとめ
減価償却費は基本的に、業務で使用している建物にかかる費用期間の間で少しずつ計上していくものです。
しかし、業務で使用しない居住用物件でも、譲渡所得を計算する際には減価償却を用います。
減価償却の計算は、前述の注意点も踏まえて、正しく計算するように注意しましょう。
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